第215章 へりくつ

佐藤拓海は白川有香の顔を思い浮かべ、つくづくと考え込んだ。

「言われてみれば、確かにどこか見覚えがある。ただ、誰に似ているかが思い出せないな」

以前はただ美人だと思っていただけだったが、今野敦史に指摘されて初めて、既視感を覚えたのだ。

エレベーターが唐突に一階に到着し、彼は呆気にとられた。

「部屋に戻るんじゃないのか?」

「買い物だ」

今野敦史は軽く手を振り、佐藤拓海も慌てて後をついて行った。

二人は向かいのドラッグストアに入った。彼が傷薬などを買い込むのを見て、佐藤拓海は不審に思った。

「怪我でもしたのか?」

今野敦史は無言だった。

ホテルに戻り、今野敦史が二十二階のボ...

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