第25章 次の雇い主を探す

中林真由は最速で会場を後にし、そのままタクシーに乗り込んだ。

乗り込んだ瞬間から、彼女の携帯は鳴りっぱなしだった。阿部静香と今野敦史がひっきりなしに電話をかけてくるので、ついに電源を切ってしまった。

阿部静香こそが今野敦史の秘書兼恋人なのだから、接待や謝罪は当然彼女がすべきことだ。

中林真由はもう何もかも知ったことではなかった。今野敦史がお節介だと言うのなら、なぜ彼女がまだ関わらなければならないのか。

彼女はタクシーで直接病院へ向かった。医師に診断書を作成してもらい、最後の数ヶ月は絶対に会社で今野敦史の死人のような顔を見なくて済むようにしたかった。

あの男は今や完全に是非の区別もつ...

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