第251章 わざと

平野歩美はすぐにパンと牛乳を買って戻ってきた。「一通り見たけど、これが一番手軽そうだったから。さあ、食べて」

中林真由は礼を言って受け取ったが、食欲は全くなかった。

さっきからずっと、石田渉の喧嘩の件が頭を離れない。何かがおかしい。

あの五郎という男の出現は、あまりにも不気味すぎた。

「平野さん。あの五郎って人、刑務所に入っていたんじゃ?」

「鋭いわね。確かに前科があるわ」平野歩美は真剣な表情で頷いた。「さっきデータを取り寄せたんだけど、三年前に傷害事件を起こして実刑判決を受けてる。相手は重傷だったけど、多額の示談金を積んで一年前に出所したばかりよ」

「重傷を負わせて、たったの三...

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