第267章 遺伝

さらに二時間が経過し、中林真由はようやくパジャマを身に纏うと、トイレへと向かった。

鏡に映る首筋のキスマークを見つめ、彼女は瞳を閉じた。

これが支払うべき代償。そんなことは、最初から分かっていたはずだ。

手早くシャワーを浴び、コンシーラーを取り出して痕を隠す。

ふと、トイレに置かれた今野敦史の脱ぎ捨てた服に目をやり、違和感を覚えた。

これは彼が昨日着ていた服ではない。つまり、着替えたということか?

中林真由は一瞬呆気にとられたが、昨晩彼が外出していたことを思い出す。

いったい何をしに行っていたのだろう。

ライトグレーのジャケットには、微かな血痕が付着していた。

今野敦史自身...

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