第270章 本音

「あなた……ッ!」

阿部静香は車椅子の上で、目元を真っ赤に染めて声を震わせた。

中林真由がまさか、そんな言葉を口にするとは思ってもみなかったのだ。

プライドが高く、いつも超然としていた中林真由が?

あの彼女が、本気で自分と張り合おうというのか?

阿部静香の背筋に、冷たいものが走る。もし中林真由が本気でその気になったら、どうなる?

彼女の瞳の奥に、一瞬、隠しきれない悪意が走った。

――こうなれば、手段を選んでいる場合ではない。

阿部静香の母親は怒りで我を忘れ、いきり立って中林真由に掴みかかろうとした。

「この泥棒猫! 人の男を寝取っておいて、よくもそんな口がきけるわね!」

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