第279章 戦闘開始

中林真由は驚愕に目を見開き、咄嗟に身を引いた。

帰るためにはどうしても通らなければならないその場所に、白川有香と江口海がいたのだ。今の彼女には、物陰で息を潜めて待つことしかできない。

「終わりになんてしたくない。ねえ、いいでしょう?」

白川有香が鼻をすする音が聞こえ、懇願するような声が響く。

その後、二人の会話は途切れた。足音も聞こえない。重苦しい沈黙だけが漂う。

五分もの長い時間が過ぎてようやく、江口海が短く息を吐き出した。

「白川有香、分かっているだろう。俺は結婚するんだ」

「私と結婚するのは駄目なの?」

白川有香の声は、涙で濡れていた。

その言葉に、中林真由は不意に胸...

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