第295章 説教

中林真由は宴会場へと戻ったが、そこに長居するつもりは毛頭なかった。

田丸家の大奥様に挨拶を済ませると、彼女は早々に立ち去るべく踵を返す。

だが、階段の踊り場で今野敦史と鉢合わせになった。

「どこへ行く? ずいぶんと早いお帰りだな」

今野敦史はそう言うと、強引にうさぎのぬいぐるみを彼女の手に押し付けた。

中林真由は微かに眉を寄せ、捨てようとしたその時、彼の声が降ってくる。

「双子の玩具だ。捨てればあいつらが泣くぞ」

「……では、なぜ私に?」

中林真由は口を開き、恨めしげな視線を彼に向けた。

先ほど、今野敦史が改心し、もう自分を困らせることはないのかもしれないと期待した自分が馬...

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