第301章 毒に冒された双子

江口俊也は小さく溜息を吐いた。

「中林真由、何か困ったことがあれば言ってくれ。必ず力になる。約束するよ」

彼は中林真由とグラスを合わせたが、彼女はただ微笑んで頷くだけだった。

彼女はよく分かっている。所詮、それはただの社交辞令に過ぎないのだと。

そして江口俊也自身も、彼女が決して助けを求めないことを痛いほど理解していた。

あれほどの大事に見舞われた時でさえ、すぐ傍にいた彼を頼ろうとはしなかったのだ。

それこそが、彼女にとって自分が「身内」ではないことの何よりの証左だった。

彼が帝京へ行ってしまえば、中林真由が彼を煩わせることなど、尚更あり得ないだろう。

二人の間にそれ以上の言...

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