第312章 模倣

雲行きが怪しいと察した上村賢人は、慇懃に口を開いた。

「小島社長、病院の前で駐車違反の取り締まりをやっているようです。社長のお車にもステッカーが貼られているのが見えましたが、確認に行かれたほうがよろしいのでは?」

「構わんよ。たかが数万円だ、月極で払ってもいいくらいさ」

小島文彦は手で追い払い、まったく気にする素振りを見せない。

上村賢人は咳払いを一つ入れた。

「ですが、あのフェラーリは限定モデルでしょう? 納車されてまだ数日も経っていないのでは? 万が一傷でもついたら大変です。輸入車は修理の手配も面倒ですし、その間お車を使えないのも不便でしょう」

彼は窓の外を一度振り返った。

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