第313章 カモ

中林真由は、ここ最近の今野敦史の行動を一つひとつ反芻していた。

花を贈る、冗談を言う、食事を差し入れる……。

それはすべて、かつて小島文彦が使った手口だ。なぜ今野敦史が、そんな真似をするのか?

すぐに中林真由は口元を歪め、自嘲気味に首を振った。どうかしていた。あの今野敦史が、小島文彦の模倣などするはずがない。

彼はただ、周囲が機嫌を取ってくれるのを待っていればいいだけの人間だ。他人の感情など、これっぽっちも考慮する必要がないのだから。

天上人である今野敦史。誰もが憧れ模倣するが、決して超えられない存在。

しかし、中林真由の予感は、あながち間違っていなかったことが証明される。

江...

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