第317章 解雇される

中林真由の日常は、ちょっとしたハプニングくらいでは揺るがない。翌日も彼女はいつも通り、誰よりも早く出社していた。

江口海はある老人と話があるらしく、場所は茶楼が指定されていた。

話し合いは二時間にも及んだ。

商談がまとまり、中林真由は江口海に従って三階から降りてくる。

「さっきの振る舞い、悪くなかったぞ」

江口海は中林真由に頷いてみせた。

彼は気難しい人物だが、今日の中林真由に関しては粗探しすらできないようだ。

業界の大物を前にしても、彼女は物怖じせず談笑していたのだから。

(江口俊が熱を上げるわけだ)

江口海は内心で溜息をついた。明晰な頭脳に、美しい容姿。確かに、それだけ...

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