第34章 これは女子トイレです

高木文也は唇を尖らせ、ボックス席の中を焦れた様子で見つめていた。

その頃、中林真由は酒杯を掲げていた。「では、そのお話で決まりですね。まずは社長に一杯、ご商売の繁盛をお祈りいたします」

中林真由は吐き気をぐっとこらえ、杯の酒を一気に飲み干した。

相手も気取った様子はなく、彼女に倣って酒をあおる。

白酒はアルコール度数が高い。ほんの一杯で、中林真由はすでに気分が悪くなってきていた。

このまま飲み続ければ、病院送りになるかもしれないことは分かっていた。だが、今はどうしようもなかった。

小林洋子を連れ出せなければ、二人ともここで終わりだ。

四杯目を飲む頃には、中林真由の視界はすでにぼ...

ログインして続きを読む