第347章 白川夫婦

「仕事に行くのか?」

 スーツに身を包んだ中林真由を見て、今野敦史はわずかに眉を寄せた。

 中林真由の目元は赤く、声も枯れている。

「あなたは、白川芽唯のご両親に会いに行くのでしょう」

 それは質問ではなく、事実の確認だった。

 白川家の地位を考えれば、さらに相手が白川芽唯の親ともなれば、年長者である彼らに今野敦史が会いに行くのは必然だ。

 彼女は今野敦史をじっと見つめた。彼は昨日からここを離れていないらしく、着ている服もそのままだ。

 顔にはいささか疲労の色が滲んでいるが、その表情は相変わらず冷ややかだった。

「俺があいつらに買収されるのが怖いのか?」

 今野敦史は鼻で笑...

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