第359章 呼び方

中林真由がまだシャワーを浴びているというのに、今野敦史は構わずドアを押し開けた。

真由は反射的に、ものすごい速さでドアの陰へと身を隠す。

これ以上はもう勘弁してほしかった。浴室そのものにトラウマを植え付けられそうだったからだ。

だがここの浴室に鍵はなく、彼女は常に警戒を怠るわけにはいかない。

今野敦史は舌打ちし、服を脇に置いた。

「上村賢人が届けた服だ。着替えろ」

浴室のドアが閉まる音を聞いて、ようやく中林真由は安堵の息を吐く。

上村賢人のセンスは悪くない。ほとんどが真由の普段のスタイルに合わせたものだった。

真由の胸がちくりと痛む。

以前ならこういう雑事は山崎奈々未がやっ...

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