第37章 十分に残酷

小林洋子の言葉に、彼女自身を除いた数人が呆然とした。

今野敦史は中林真由にちらりと視線を送り、運転手は素早く車を病院へと走らせた。

本来三十分はかかる道のりを、わずか十五分で病院に到着した。

運転手は今野敦史の冷たい表情が何を意味するのか痛いほど理解しており、一刻たりとも無駄にはできなかった。

中林真由はまだ意識を失っており、再び今野敦史に抱きかかえられて車から降ろされた。

救急室の医師や看護師がすぐに駆けつけ、詳しい状況を尋ねると、中林真由を処置室へと運び込んだ。

三十分ほどして、ようやく医師が出てきた。

「患者さんのご主人、こちらへ。ええ、あなたです」

医...

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