第374章 安っぽい感情

入り口の方から低い男の声が響き、全員の視線が一斉に其処へ注がれる。

今野敦史が十数人のボディガードを引き連れて現れると、ボックス席は瞬く間に窮屈な空間へと変貌した。

彼は迷わず中林真由の傍らに立ち、声を潜めて問う。

「大丈夫か」

真由は無言で首を横に振った。

内心ではまだ腹を立てている。

彼がいなければ、こんな厄介事に巻き込まれることもなかったのだから。

だが同時に、微かな安堵も覚えていた。

もし彼が現れなければ、自分と平野歩美はこのボディガードたちに連れ去られていたかもしれない。

「今野社長、わが白川家と徹底的に争うおつもりか」

白川が彼を睨みつける。

今野敦史は片眉...

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