第388章 少年

個室の空気が一瞬にして張り詰めた。平野歩美は、村上晴雄を冷ややかに睨みつける。

中林真由は、二人の間に流れる不穏な空気を鋭敏に察知した。

実のところ、二人が顔見知りであることは一目瞭然だった。

感情を隠すのが得意なはずの平野歩美が、動揺を隠しきれていない。つまり、目の前の村上弁護士という男は、彼女にとって少なからぬ影響力を持つ人物だということだ。

少なくとも、過去に何らかの接点があったのは間違いない。

小島文彦も当然、その違和感に気づいていた。彼は口笛を一つ吹くと、わざとらしく尋ねる。

「村上弁護士、もしかして平野弁護士とお知り合いで?」

「女性には優しく、女性弁護士は大切に。...

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