第50章 家に帰って養生する

中林真由はすべてを言い終えると、そのまま階下へ降りてパーティー会場を後にした。

先ほどの階上の声は小さくなく、一階ロビーにいた少なからぬ招待客の耳にも届いていた。

今、中林真由が俯きながら足早に立ち去るのを見て、招待客たちの視線が彼女に注がれる。

中林真由はほとんど考える間もなく、そのまま道端に出てタクシーに乗り込んだ。

車が走り出して十分ほど経った頃、中林真由はようやく濁った息を吐き出した。

彼女の脳裏には、先ほどの今野敦史の言葉が絶えず浮かんでいた。「中林真由、俺はお前を相手にしていない」

もう何年も前から、彼に対しては何の希望も抱いていなかった。だが、この瞬間、やはり心臓が...

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