第6章 派遣

中林真由は眉をひそめ、今野敦史を見つめた。「社長、どういう意味でしょうか?」

「中林真由、分からないのか?」

今野敦史はスマートフォンを取り出し、彼女に一つのファイルを送信した。

「山間リゾートのプロジェクトはお前が担当しろ。やり遂げられなければ帰ってくるな。今日中に発て」

彼はそう言い放つとそのまま車に乗り込み、中林真由だけがその場に残された。

中林真由は深く息を吸い込むと、素早く身なりを整え、ひとまず会社へと戻った。

秘書課の他の者たちはまだ残業しており、彼女が荷物をまとめ始めるのを見て、皆一様に驚いていた。

「中林真由、何してるの?」

山崎奈々未が慌てて駆け寄る。

最...

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