第77章 刃物を持って強盗

また一通り見て回ると、そろそろ帰る時間となった。

江口花がトイレに行きたいと言い出し、責任者が慌てて彼女を案内する。

竹田南はついに今野敦史を独り占めする機会を得て、そっと彼の隣に寄り添った。

「今野社長、本当にありがとうございました。社長のおかげです。でなければ、私はクビになるところでした。今夜、もしご都合がよろしければ、一緒にお食事でもいかがでしょうか?」

「助けていただいたお礼に、私にご馳走させていただけませんか?」

彼女は思わせぶりに微笑み、タイミングよく白い首筋をのぞかせた。

以前から調査済みだった。今野敦史は中林真由のような、色白で綺麗な女性が好みだということを。

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