第37章
相澤裕樹は樋口浅子を手で打ってしまったことを、ずっと後悔していた。
ようやく藤原美佳から離れることができ、人皮マスクを着けて急いでやってきた彼は、西原貴志が樋口浅子の顔を優しく丁寧に拭いている場面に出くわした。
雨粒が彼の頬を伝い落ちる中、目には樋口浅子の姿しか映っていなかった。
樋口浅子は籐椅子に座り、身をよけることもなく西原貴志に薬を塗らせていた。顔色は青白かったが、口元には微かな笑みを浮かべていた。
相澤裕樹の足は止まった。目の前の光景をぼんやりと見つめながら、これまで感じたことのない焦りが胸の内に湧き上がってきた。
彼は前に出て、西原貴志を乱暴に押しのけた。「何をしているん...
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