140-砂糖とスプーン

自分が正しいってことが、たまらなく嫌になる時がある。

夢で見るあの「幻視(ヴィジョン)」が始まった時、私はいつものやつだろうと高を括っていた。キアラが泣き疲れて眠る姿や、まるでゾンビのようにただ横たわっている姿を見るだけだろうと。たまに彼女が目を覚まして動き回ることもあるが、状況が大きく変わることはない。

以前は、事態がほとんど動かないことを悪いことだと思っていた。けれど今になって思えば、あのまま変わらないでくれと、少しでも長く現状維持が続くように祈るべきだったのかもしれない。

キアラは体を丸め、明らかに周囲のすべてを遮断しようとしている。だが次の瞬間、彼女は右腕を強く引っぱられ、立ち上...

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