220-手紙と手放し

最初の一行を読み返し、私は思わず息を呑んだ。

『初めて会ったときから、君を俺のベッドに連れ込みたいと思っていた』

なんてこと。こんなの、読むべきじゃないかもしれない。いや……そんなの馬鹿げてる。読まなかったからといって事実が変わるわけじゃないし、それに正直なところ……薄々は気づいていたことだ。だから、もう腹を括って、自分の意志でここにいるんだと認めるべき時なのだろう。私はこれを望んでいる。ただ、怖いだけなんだ。私は長く息を吐き出し、強張る体を無理やりリラックスさせてから、続きを読むことにした。

『俺の研究に君がいくつかのアイデアをくれたことは知っているだろう。それに、一ヶ月はキッチンに足...

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