第21章 真相を知る

夜。矢野郁真はひとり、グラウンドのスタンドに座っていた。

矢野汐里のインスタを遡り、父のオフィスで撮った写真を見つめる。すると、前に汐里が口にしていた言葉まで蘇ってきた。

ずっと、どこか引っかかっていた。

もし本当に父が手を回してくれたのなら、どうして自分にひと言もないのか。責めるでもなく、念を押すでもなく、何も。

試しに父へメッセージを送った。

「親父、あの件助けてくれてありがとう」

だいぶ時間が空いてから、矢野行正の返信が来る。

「余計なことはしてない」

たった一文。頭から冷水を浴びせられたみたいだった。

矢野郁真はその短い文面を見つめたまま、指先まで震えた。

父じゃ...

ログインして続きを読む