第57章 金は妻の管理下に置く

小林舞香は顔を上げ、父の冷え切った表情と、小林聡子母娘のむき出しの欲を宿した目にぶつかった。最後に深く息を吸い込み、結局――その書面に、自分の名前を記した。

叔父さんの言った通りだ。いま、彼の手に株があると知れ渡っている。いずれ、あの人たちは必ず奪いに来る。だったら自分が預かっていたほうがいい。少なくとも――

彼を、老いても頼る先のない状態にはしない。

小林修平の視線が、彼女の細い首筋へ落ち、次にすらりとした指先へ移った。紙の上には彼女の署名があり、彼の名の隣に並んでいる。

修平の口元がふっと弧を描く。そして書類をまとめ、淡々と言い放った。

「ここで娘に頭下げさせてる暇があるなら、...

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