第10章

広いカウンターの上で、箱は空っぽのままだった。

桐生朔弥は眉を寄せ、念のためもう一度中を確かめる。――やはり、何も入っていない。

彼はスマホを取り出し、番号をタップした。

『おかけになった電話は、ただいま通話中です……』

……着信拒否か。

いいだろう。

歯を食いしばり、箱を乱暴に脇へ放り投げる。ソファに沈み込み、朔弥は固く目を閉じた。

一方――。

寮へ戻った谷口凛華は、胸の奥から込み上げる苛立ちを抑えきれずにいた。シャワーでも浴びようかと思った、そのとき。着信音。

画面に出た名前に、指が止まる。

桐生おじい様――この家で、たった一人、彼女に温かさをくれた人。

「おじいさ...

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