第14章

翌朝。

大旦那様は上座にどっかと腰を据え、重たい目つきで座敷を見渡した。桐生朔弥の姿がないとわかるや、眉間にかすかな皺が寄る。

「……朔弥はどうした。昨日はいたはずだろう」

誰のことを言っているのか、ここにいる全員がわかっている。

谷口凛華は表情を崩さず、にこりと微笑んで口を開いた。

「会社の用があるそうで、朝早くに出ました」

「違うよ。パパは昨日の夜――」

桐生颯馬の声が、途中でぴたりと止まる。しまった、とでも言いたげに、慌てて両手で口を押さえた。

大旦那様の顔色がさらに沈む。

「……あの馬鹿者が……!」

怒鳴りかけた言葉は、颯馬の黒い瞳にぶつかったところで喉の奥へ引っ...

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