第18章

「……ママ……」

桐生颯馬の顔に浮かんでいた喜びが、ぴたりと固まった。しぶしぶ「パパ」と呼び直す。

夜の闇の下。小さな顔の感情は隠しようもなく、落胆がそのまま滲んでいた。

車を降りた桐生朔弥が首をかしげる。

「どうした?」

「若奥様が――」

使用人が言いかけた瞬間、桐生颯馬が遮った。

「パパ、お腹すいた。先に何か食べよう」

息子にそう言われ、桐生朔弥も深くは考えずに子どもを連れてダイニングへ向かった。テーブルの上には、ハンバーガーとフライドポテトがそのまま置かれている。

食べ終えると、桐生颯馬がくるりと目を動かした。

「パパ、今日ね、健診があって。お医者さんが『やってもや...

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