第22章

大勢の視線が集まる中、谷口日奈が桐生朔弥と連れ立って姿を現した。

あちこちで羨望の溜息がこぼれ、噂話は羽でも生えたみたいにふわりと漂ってくる。

岡野明裕は、谷口凛華と桐生朔弥の関係を知っている。だからこそ一歩前に出て、気遣うように声をかけた。

「大丈夫か?」

あの頃、凛華が朔弥と結婚するためにどれほどのものを差し出したか――周りはみんな見ていた。だから、胸の内が痛んでいないはずがないと、本気で心配していたのだ。

谷口凛華は小さく笑う。

「別に……もう、どうでもいい」

手近にあったフルーツジュースを取り、軽く口をつける。

離婚すると決めたあの日から、桐生朔弥が何をしようと、彼女...

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