第26章

気づけば、周囲はがらんどうだった。葉山航平は腹の底から煮えくり返り、今にも爆発しそうになる。

さっきまで同僚に声をかけて、あの「後輩の席を横取りした女」を皆で追い出してやろうと思っていたのに――目を離した隙に、人がごっそり消えていたのだ。

怒りに任せ、損得を計る余裕もなく踵を返す。

本社の正門を出るなり、彼は電話をかけた。

「日奈、安心して。この件は俺に任せろ。必ず、お前と一緒に入れるようにするから」

やさしく、それでいて揺るぎない声。まるで守護騎士の誓いみたいだった。

数言やり取りして、通話は切れる。

一方の谷口日奈はというと、顔いっぱいに露骨な嫌悪を浮かべていた。さっき仕上...

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