第46章

がらんとした廊下に立ち尽くし、谷口凛華は進むことも退くこともできずにいた。

いつからだろう。もう一度この部屋の前まで来てみると、まるで長い歳月が流れたあとのように、ひどく遠い場所に思えた。

周りの景色は何ひとつ変わっていない。見慣れたまま、寸分違わぬまま。なのに谷口凛華だけが、どうしてもその中へ足を踏み入れられない。

……やめよう。颯馬の部屋へ行こう。

谷口凛華はそっと、桐生颯馬の部屋の扉をノックした。

「ママ、どうしたの? お話しに来てくれたの?」

入ってきた谷口凛華を見た瞬間、桐生颯馬の顔がぱっと輝く。目まできらきらしていた。

その様子に、谷口凛華はふっと頬を緩めた。

「...

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