第47章

夜が深まっていた。

笹木明子夫婦は翌日に重要な仕事を控えている。おばあ様が手術室から運ばれ、一般病棟の病室へ移されたのを見届けてから、ようやく病院を後にした。

病室の中は、怖いほど静かだった。

機械が刻む規則的な音だけが、やけに耳につく。

谷口凛華はそっと、おばあ様の皺だらけの手を握りしめた。涙がぽろぽろと落ちる。

「ごめんなさい……」

ここ数年、おばあ様の体は目に見えて弱っていた。それなのに母は、あの人を放っておかなかった。

これからおばあ様がどんな目に遭わされるか――想像するだけで、怒りで全身が震える。

疲れがどっと押し寄せ、泣き疲れた凛華はベッドの脇に額をつけたまま、い...

ログインして続きを読む