第48章

「今日、金を渡さないなら、まだ騒ぐからね」

笹木志美はほとんど発狂したみたいに面の皮をかなぐり捨て、いきなりスマホを奪って金を取ろうとした。

目の前の光景を、谷口凛華は虚ろな目で見つめる。

両親が離婚してから、こんなことが何度あっただろう。

笹木志美は目的を果たすまで絶対に引かない。毎回、家じゅうをひっくり返す勢いで騒ぎ立てる。

もう慣れたと思っていた。けれど――お婆さんの顔が脳裏をよぎった瞬間、胸の奥がかっと熱くなった。凛華がスマホを取り返そうとした、そのとき。

「この役立たず! 名門に嫁いだくせに、なんでこんな端金しかないの! 金は!? どこ行ったの!? 言いなさいよ!」

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