第56章

部屋の照明は眩しいほど明るかった。

大叔母と大旦那様は昔話に花を咲かせ、仕事のことを話したかと思えば、家の子どもの話に移り、時折くすくすと笑い声がこぼれる。

一方、弥奈は玩具を手に、休む間もなく遊び続けていた。

けれど桐生颯馬は、どうにも遊ぶ気になれない。無意識のうちに、何度もキッチンのほうへ視線をやる。

……それでも、どれだけ待っても。

ママは一度も、振り返ってくれなかった。

胸の奥がもやもやして、颯馬は玩具をぽいっと脇へ放り投げた。

「宿題やる」

ママは、他の人にはキスをしたのに。自分のことは見てもくれない。

ぷくっと頬を膨らませたまま、颯馬はたったったっと二階へ駆け上...

ログインして続きを読む