雨が降っている赤ちゃん


~~デライラ~~


ずっと先延ばしにしてきたけれど、もう後がない。やるなら今しかない。

排卵誘発剤のせいで体はむくんでいるし、情緒不安定ですぐ泣きそうになるし、ソーダの氷が多すぎるってだけでウェイターに噛みつくほどイライラしている。それでも私は薬を飲んだ。タイミングが全てだから。カレンダーによれば、今がその時。排卵のピーク。受胎の絶好機。次第に狂気じみてきたこの計画を成功させるための、たった一度のチャンスなのだ。

フィンの部屋のドアの前で、私はパニックを抑えようとしている。心臓が肋骨の裏で奇妙なリズムを刻んでいた。彼が怖いわけじゃない。フィンを誘惑するのが初めてってわけ...

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