モラリティトリガー

ノックスはもちろん、マテオの問いには答えない。

その沈黙は、どんな言葉よりも雄弁だ。彼は、私の頭の後ろで銃が火を吹く前に、背後の男を撃ち抜けると考えているのだろう。だが私のためにも、そんな賭けはしてほしくない。

マテオの手が、まるで痒いところを掻くかのように左足へと下りる。その手がズボンの裾の下に消え、再び現れたときには銃が握られていた。小さな銀色の拳銃だ。小型だが、大型のものと同じくらい確実に人を殺せる代物だ。彼はそれを真っ直ぐノックスに向けた。

私は息を呑んだ。

「俺がお前を殺す前に、あいつを撃てる速さがあると思ってるのか、ノックス?」マテオの声には愉悦が滲んでいた。「俺には計画が...

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