問題はセックスです

病院の駐車場に入っても、ノックスは動こうとしない。

ハンドルを握りしめた指は白く強張ったままで、視線はただ前方を見据えている。エンジンは切れているのに、彼の体はまだ追いついていないようだ。捲り上げた袖の下で、腕の筋肉が張り詰め、脈打っているのが見て取れる。目尻の小じわさえ、いつもより鋭く刻まれている気がした。

私はシートベルトを外し、彼をちらりと見た。「来ないの?」

彼は一度だけかぶりを振る。「ああ。片付けなきゃならない用事がある」

「仕事?」

「ああ」

私はそれ以上追求しない。その代わり、身を乗り出して彼の頬に軽くキスを落とした。だが、離れようとした瞬間、彼の手が伸びてきて私の髪に絡...

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