第158章:ケーキは好きじゃない。

結婚式は危険なほどに迫っていた。

セラフィナがそう確信したのは、どの部屋に入っても誰かがその話をしているからだった。

ジェームズは招待客リストを再確認している。オリオンは結婚式ではなく、まるでハイリスクな任務のように警備計画を立てている。リアムは自分が先にプロポーズしたことについて、得意げな発言を繰り返している。そしてゼインは?

ゼインは、できる限り役に立たないことを自らの使命としていた。

彼女はエイペックス本部にあるラウンジへと足を踏み入れた。静かなひとときを期待し――いや、渇望して。

だが、そこで彼女が見たのは、ケーキの味について口論するゼインとリアムの姿だった。

セラフィナは...

ログインして続きを読む