第174話あなたは無理だ

ビーチまでのドライブは、単純なはずだった。

車に乗り込む。数時間運転する。誰も殺人を犯すことなく、ジェームズの家に到着する。

だが、もちろん、物事がそんなに簡単だったためしはない。

「よし」ジェームズは鼻の付け根をつまみながら、集まった面々を見渡して言った。「車は三台ある。俺たちは大人だ。揉めることなく決められるはずだ」

途端に全員が揉め始めた。

「ゼインと一緒の車になんて乗らないわ」テッサが宣言した。

「こっちだって三時間もお前の相手なんかしたくねえよ、クイン」ゼインが言い返す。

デイモンはにやりと笑った。「二人を一緒に乗せろよ。殺し合わせればいい。こっちの手間が省ける」

セ...

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