第151章 子供を産みたくない

しかし……鈴木千夏が薬の箱を足で踏みつけた。

「ちょっと待って、松本由美、これ何の薬?」

「足をどけて!」

鈴木千夏はしっかりと踏みつけたまま動かない。「随分と焦ってるわね……見せてもらうわ」

松本由美はすぐさま行動に移った。片手で彼女の足を持ち上げながら、もう片方の手で薬の箱を掴もうとする。

だが、もう遅かった。

「この薬は……緊急避妊薬じゃない?」鈴木千夏が言った。「松本由美、なんでこんな薬を飲むの?」

言葉を発した瞬間、鈴木千夏は理解した。「あなた、昨夜、村上さんと……」

鈴木千夏が呆然としている隙に、松本由美は素早く薬の箱を奪い取り、バッグに押し込んで振り返ることもな...

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