第121章 他の女の腹を大きくした

黒崎昌仁は枕に背を預けたまま、荒い息を吐いていた。顔色は紙みたいに白い。

「……わしが入院してから、この病室でいちばん長く付き添ったのは誰だ」

返事はない。病室に、しんとした沈黙が落ちる。

「霧子だ。毎晩毎晩ここに座って、ろくに寝てもいない。粥も霧子が炊いた。薬も、ちゃんと飲ませてくれた。わしが夜中に咳き込めば、看護師より先に飛んでくる」

黒崎昌仁は息を整えるように一拍置き、続けた。

「3年だ。正月も盆も、欠かしたことがない。誕生日なんぞ、わしより霧子のほうが覚えとる」

言い終えたところで、喉がひゅっと鳴り、二度咳き込む。

「霧子が『疲れた』と言ったか? 誰かに愚痴をこぼしたか...

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