第128章 火事だ

夏目霧子は家で荷物を整理している最中、一本の電話を受けた。

迷った末に、通話ボタンを押す。

受話口の向こうの声は切迫していた。

「夏目霧子さんでいらっしゃいますか。桜ヶ丘西通り18番地のご自宅で火災が発生しています。現在、消防隊が現場へ向かっており……」

――頭の中が、ぶん、と鳴った。

あそこは、父が遺してくれた家だ。

幼い頃から住んでいた。彼女の記憶は、あの家の壁と床に染みついている。

父が亡くなってからは名義が水野美月に移り、彼女はずっとあの別荘を取り戻したかった。ついこの前、ようやく入江和彦から買い戻したばかりだったのに。

リビングのキャビネットには、父が遺した品がすべ...

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