第132章 二人とも限界に達したが、まだ足りない

黒崎逸臣はスマホを取り上げ、吉村さんの番号を押した。

コールは二度で繋がる。

「黒崎さん」

「水野さんが家に幽霊が出るって言ってた。どういうことだ」

受話口の向こうで吉村さんが一瞬、言葉を失った。すぐに声を潜める。

「黒崎さん、ちょうど私からもご報告しようと思ってたんです。この二、三日、水野さんと水野若様がずっと『家の中で音がする』『誰かが話しかけてくる』って……夜中も騒ぎになって、家が落ち着かなくて」

「お前は聞いたのか」

「私は何も……」吉村さんの声には困惑が滲む。「呼ばれるたびにすぐ二階へ上がって、部屋に入っても何もないんです。回廊で耳を澄ませても、しんとしてて……風の音...

ログインして続きを読む