第138章 住むことにする

黒崎逸臣は夏目霧子に怒鳴られて喉の奥がきゅっと締まり、言い返そうとした、そのときだった。

ポケットのスマホが鳴る。

取り出すと、画面に躍る表示は「おじい様」。

指先を画面の上で止めたまま、逸臣の視線は霧子に縫い付けられている。

次の瞬間、通話を取り、ついでにスピーカーを入れた。

「この、ろくでなし! どこに消えた!」

黒崎昌仁の怒鳴り声が、リビングにどん、と落ちる。

「連絡ひとつ寄こさず、ふらっといなくなりおって!」

逸臣は電話口の罵声を無視した。目は相変わらず霧子だけを捉えている。

霧子の胸に、嫌な予感が一気にせり上がった。眉がぴくりと跳ね、口を開きかけた、その瞬間――

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