第14章 彼には教えない

スマホ画面の光がやけに刺さる。照り返しに浮かび上がった夏目霧子の顔は、死人みたいに真っ白だった。

匿名のメッセージは、舌をちらつかせる毒蛇のように、じっと彼女を狙っている。

指先が冷たい。氷水から引き上げたばかりみたいに。

――ほぼ間違いない。やったのは水野菜々美だ。

あの狂った女以外に、こんなふうに執着してくる人間はいない。

でも、警察に行ったところで無駄だ。仮想番号じゃ発信元は追えない。仮に追えたとしても、黒崎逸臣が信じるはずもない。

胸の奥が、息ごと詰まっていく。どうしようもない無力感。

夏目霧子は立ち上がると、足早に玄関へ向かい、ホテルのドアチェーンを掛けた。さらに重た...

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