第140章 酔い潰れ

黒崎逸臣が病室を出ると、背後では水野菜々美の泣き喚く声がいつまでも響いていた。

彼は表情ひとつ変えず回廊を歩き、エレベーターで1階へ降りる。

ホールの出入口には、すでに林田秘書が待っていた。姿を見つけるなり駆け寄ってくる。

「黒崎社長、次はどちらへ?」

病院の玄関先に立った瞬間、冷たい風が襟元から容赦なく入り込んだ。

黒崎逸臣はネクタイを緩め、掠れた声で言う。

「どこでもいい。飲める場所だ」

そして車の後部座席に乗り込み、背もたれへ頭を預けたまま目を閉じる。

「入江和彦も呼べ」

――四十分後。

都心の会員制クラブの個室。

黒崎逸臣の前にはウイスキーのボトルが置かれ、すで...

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