第173章 クズ親父よりずっとマシだ

マクラーレンが山腹の別荘へ続く私道に滑り込む。まだ停まりきらないうちから、夏目有希は窓にぺたりと張りついて外を覗いた。

「おじさんが帰ってきた!」

門の前に停まっているのは、瀬戸康平の黒いベントレーだった。

瀬戸海介がエンジンを切り、後部座席のドアを開けると、手を伸ばして有希を抱き下ろそうとする。

有希は一瞬ためらったが、珍しく逃げなかった。彼の首に腕を回し、そのまま抱えられて降りる。

瀬戸海介は眉を上げる。ちょっとした感激すらあった。

このお嬢ちゃん、普段は自分を見るなり疫病神でも見たみたいな顔をするのに。今日はどういう風の吹き回しだ。

三人が玄関に着くころ、瀬戸康平がリビン...

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