第18章 祖父がICUに入る

黒崎逸臣は電話を切るなりアクセルを踏み抜いた。信号を3つぶっちぎり、車が止まりきる前に飛び降り、そのままエレベーターへ駆け込む。

ICUの扉の前。

夏目霧子はうつむいたまま、両手をきつく絡めていた。指の関節が白くなるほど。痩せた小さな身体は長椅子の隅に縮こまり、捨てられた壊れかけの人形みたいだった。

昨夜のままの部屋着に、適当にトレンチを羽織っただけ。髪は乱れ、肩に落ちている。

荒い足音が近づいても、彼女は顔を上げない。まつ毛すら、ぴくりとも揺れなかった。

その光景を見た瞬間、逸臣の胸がぎゅっと潰れる。大股で近づく。

「霧子」

「じいさんは……どうなった」

呼んだ声は、ひどく...

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