第180章 食卓の修羅場(二)

二人がああだこうだと言い合うたび、注文票はどんどん長くなっていった。

店員は額の汗をぬぐい、つばを飲み込む。

「お客様……こちら、10人前はありますが。ひとまずこの分でよろしいでしょうか」

「持ってきて」

「全部だ」

同時に声が重なった。

店員は慌ててメニューを抱え、逃げるように厨房へ引っ込んだ。

夏目霧子は、二人の騒がしさに頭が割れそうだった。

ほどなくして、食べ物と飲み物が次々に運ばれてくる。

テーブルは皿で埋まり、コップひとつ置く隙間すらない。

瀬戸海介が小皿を差し出した。

「霧子、これ食べてみて」

声はやわらかい。

黒崎逸臣のこめかみが、ぴくりと跳ねた。

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