第21章 祖父を見舞う

「一滴も口にしてないんですよ!」田中が腿をばんばん叩きながら、青い顔でまくしたてた。「若様がおっしゃったんです。誰も入るな、邪魔をするなって。そのまま、あそこで跪かせておけって。さっき私、こっそり水だけでも持って入ろうとしたんですが、若様に追い返されまして……。おじい様のお言葉がない限り、死んでも立たないと」

「若奥様、どうか若様をお止めください! このままでは、いくら頑丈なお身体でももちません」

夏目霧子は唇をきゅっと結んだまま、何も言わなかった。

そのまま長い廊下を抜け、中庭へ向かう。

重たい木の扉は半ば開いていて、室内に明かりはない。薄闇が静かに沈んでいた。

霧子は扉を押し開...

ログインして続きを読む